何かいいことないかな


「なにかいいことないかな?」と愛華は言った。

「お天道様に聞いてごらんよ。」と母は言った。

愛華は外へ出て夏の太陽を眺めた。
「眩しいよ。それにとっても暑い。お天道様は、暑いだけで、いいことなんて知らないよ。」



「お天道様はいつもみんなが快適に生活できるように地面を照らしているんだよ。
 なにも愛華一人を照らすためにあるわけじゃないよ。」

「でもみんな暑い暑いって言ってるよ。」

「そうね 確かに日本の夏は暑いわ。
 でもね、太陽は日本だけを照らしているわけじゃないの。
 順番に世界のどこかを照らしているのよ。
 愛華だって冬になると夏の太陽が待ち遠しくなるでしょ。
 世界の何処かの人は太陽を待ってるの。少しぐらい我慢しなさい愛華。」